タバコの煙には、4,000種類以上もの化学物質が含まれています。そのうち、発がん性物質は、なんと60種類にもおよび、肺がんの原因のひとつであることは明確ですが、さらには動脈硬化・高血圧・脳卒中・心筋梗塞・ぜんそく・慢性閉塞性肺疾患・胃潰瘍・バセドウ病・うつ病・勃起不全などの多彩な病気の発症を増やす原因とも考えられています。
やめたらいいことは、わかってはいるが、実際やめられないーこの原因は精神力の弱さではありません。タバコを吸うと、ニコチンが肺から血液を介し脳に到達し、快感物質であるドパミンが放出され、タバコ→快楽のスパイラルとなり、(これをニコチン依存症の状態であるといいます)やめられないのです。喫煙者の概ね70%の方がこのニコチン依存の状態といわれています。
禁煙補助薬には貼り薬とニコチンを含まない飲み薬等があります。“ニコチンを含まない飲み薬”は、ニコチン切れ症状を軽くするだけでなく、タバコをおいしいと感じにくくする効果を併せ持ちますので、禁煙治療の強い味方になってくれるはずです。
禁煙外来の概要ですが、保険診療の場合、全部で12週間、初診を含めて計5回の診察となります。禁煙治療は、処方される薬にもよりますが(自己負担3割として)約20,000円程度です。1日1箱喫煙する方なら、12週間分のタバコ代より保険診療で禁煙治療を受けた場合の自己負担額のほうが安くなる計算になります。
禁煙治療にはこれまで医師が処方する医薬品として飲み薬や貼り薬がありましたが、最新の治療法としてニコチン依存症治療アプリのCureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカーが追加されました。
一般的にスマートフォンで利用されているヘルスケアアプリとは異なり、禁煙外来で医師の診断のもと処方され、患者さんにご使用いただく医療機器です。常に患者さんの側にあるスマートフォンの特性をいかし、在宅や勤務中など医療者の介入が難しい「治療空白」期間をアプリが支援することで、禁煙継続率が向上します。また、アプリへの入力内容から前回の診察以降の患者さんの日常の様子を医師が詳細に把握することできるため、より効率的で質の高い禁煙治療を可能にします。
医師の診察を受けた際に処方され、その後、利用開始するために患者さん自身のスマートフォンに患者アプリをインストールし、医療機関で初期設定を行います。後日、COチェッカーがご指定のお届け先住所へ届きますので、同封されている取り扱い説明書に従い、利用を開始します。
治療アプリ®︎は保険適応のため、治療費用はご自身の負担割合に応じてご負担いただきます。CureApp SCを含めた禁煙治療は診察などを含めて3割負担の場合、27,000円ほどとなります。タバコを1日1箱500円で喫煙を続ける場合にかかる費用は年間182,500円ほどになり、さらに毎年継続的に費用がかかることを考えると経済的メリットは大きいです。是非当院で治療アプリ®︎を活用した禁煙治療を頑張っていきましょう!