超高齢社会となったわが国においては、もはや認知症は国民病ともいえる身近な病気となりました。軽度認知障害(MCI)とは、健常者と認知症の中間の段階を指します。日常生活に支障はありませんが、そのまま過ごすと約5年でその半数以上が認知症に進行すると言われています。認知症予備軍とも言われているMCIですが、最近の研究ではMCIの段階で適切な予防や治療を行えば、認知症の発症を防ぐことや遅らせることができると分かっています。認知症の中でも最も多いアルツハイマー型認知症は、発症する約20年前から主な原因物質であるアミロイドベータペプチドが脳内に溜まり始め、認知機能が少しずつ低下していきます。そこで、まずは認知症のリスクを知ることから始めていきましょう。
MCIスクリーニング検査では、アミロイドベータペプチドの排除や毒性を弱める機能を持つ血液中の3つのタンパク質を調べることで、MCIのリスクを判定します。もう一つ、認知機能低下に関与すると言われている重要な遺伝子のひとつに「APOE遺伝子」があります。この遺伝子型を調べることでアルツハイマー型認知症の発症リスクを調べることが可能です。ε4型を2本もっている人(ホモ型)は、認知症のリスクが15倍高まりまると言われているため、一層の注意が必要です。アルツハイマー型以外の認知症リスクを評価するには、右記の「脳血管病予防検査」に示した項目で現在の血管の評価と脳血管病発症リスクを知ることが有効。頭部MRI検査以外は当院でおこなうことができます(頭部MRIは検査機関に紹介いたします)。
LOX-index®は、脳梗塞・心筋梗塞発症リスク(動脈硬化リスク)を評価するもので、日本国内で行われた、約2,500名を約11年追跡した研究成果がベースとなっています。sLOX-1とLABという物質から得られる解析値が、今後10年以内の脳梗塞・心筋梗塞発症率に大きく関与する事がわかり、これを測定しリスク分類を行います。